俳優 田中実 自殺
NHK連続テレビ小説「凛凛と」に主演するなど数多くのドラマ、映画で活躍した俳優の田中実さんが25日午後、自宅マンションで、首をつって死亡した。自殺とみて警察が調べているが、44歳という俳優人生で最も脂ののった時期にいったい何があったのか。
警視庁池上署などによると、25日午後3時すぎ、東京都大田区下丸子の自宅マンションで家族が見つけ、119番した。病院に運ばれたが、すでに息を引き取っていた。目撃住民によると、担架で運ばれる田中さんの顔面は真っ青で、パート先から駆けつけた妻は泣き崩れていたという。
家族は妻と長男、名門中学に通う長女の4人暮らし。昨年12月に大手のオスカープロモーションに移籍したばかり。「悩みは聞いていない。仕事もなかったわけではなく、撮影済みの2時間ドラマなどもあったようだ」とプロダクション側も驚く。だが、田中さんは4月11日付ブログで、「下を向いて考える時はどこか気持ちが沈んでいるような…」と不安な思いを綴っていた。
自殺原因は不明だが、テレビ業界を取り巻く、厳しい環境について民放関係者が明かす。
「景気悪化による広告収入減や地デジ化への設備投資で昨年来、ドラマの制作現場ではギリギリの経費節減や人員の整理が行われた。そこに大震災がきて、『完全に干上がった』と悲鳴が上がっている」
所属事務所のオスカープロモーションによると、田中さんは昨年12月に同事務所に移籍し、WOWOWで3月6日に放送された「再生巨流」に出演するなど、ドラマなどの仕事を順調にこなしていた。死の前日の24日に田中さんの担当マネジャーが仕事について話をしたときには「特に変わった様子はなかった」という。事務所では「仕事のトラブルなどはなく、(原因に)心当たりはない」としている。
家族は妻と長男、名門中学に通う長女の4人暮らし。昨年12月に大手のオスカープロモーションに移籍したばかり。
「悩みは聞いていない。仕事もなかったわけではなく、撮影済みの2時間ドラマなどもあったようだ」とプロダクション側も驚く。
だが、田中さんは4月11日付ブログで、「下を向いて考える時はどこか気持ちが沈んでいるような…」と不安な思いを。
それまでの日記風の文体とは異なり、「空を見上げて考える時は何か良い事ありそうな気分 下を向いて考える時はどこか気持ちが沈んでるような…」「考えるから人間だって言っていたのは誰だっけ 考えるのは大好き 空を見上げて考えたい 空を見上げて考え続けたい」と、何かを悩んでいたとも取れる内容をつづっていた。
田中さんは、かつて水谷豊(58)主演の刑事ドラマ「刑事貴族」シリーズで実直な刑事役を好演したこともあるが、最近は単発の仕事が多かったようだ。
「震災以後の番組編成を見ると、過去の人気ドラマの続編が多い。セットの一部などを使い回せるし、新しい役者のキャスティングなどに労力をかけず、出費を抑えられる。午後7時半以降の収録には“ロケ弁”を出す決まりなので、午後7時に切り上げるロケがあるくらいです」
◆日本テレビ系「刑事貴族」で共演して以来、田中さんが尊敬する俳優、水谷豊(58)
「先月長崎ロケが一緒で、お互いに芝居のアイデアを出し合ったり、夜中まで楽しく語り合ったり。久しぶりに楽しい時間だったねと。お互いにまた近々に会うことを約束して別れたばかり…。まったく言葉が見つかりません」
◆NHK朝の連続テレビ小説「凛凛と」で共演した俳優、野村宏伸(45)
「今はショックで、非常に残念で言葉も出ません」
◆TBS系昼ドラ「温泉へ行こう」シリーズで田中さんと夫婦役を演じた女優、加藤貴子(40)
「いつも朗らかで、どんなに厳しい現場でも笑顔を絶やさずに心配りをしていた実さん。語りつくせないほどの実さんの優しさに支えられながら、私は演じることができました。実さんの周りを和ます屈託のない笑顔を忘れません。今はただ『ありがとう』。そして、『おつかれさまでした』です」
by a19750601 | 2011-04-26 14:17