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大滝秀治さん死去 

大滝秀治さん死去 「普通」が一番難しい

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二日に亡くなった俳優の大滝秀治さんは、

演劇、映画、ドラマと幅広く活躍してきたが、

映画では伊丹十三監督の「お葬式」(1984年)など多くの名作に出演。


c0144828_1017429.jpg遺作となった「あなたへ」(東宝配給、公開)の降旗康男監督は「高倉健さん主演の映画にはよく出ていただき、アクセントになる演技をしていただいた」と述べ、その秀逸な演技力をたたえた。 
 「あなたへ」は、主人公の倉島(高倉)が故郷・長崎の海に散骨してほしいという妻の遺志を後で知り、旅に出る話。倉島は、大滝さん演じる船頭の大浦吾郎に、散骨のため船を出してほしいと頼むが「他をあたってくれ」と断られる。
大浦は、倉島が散骨を迷っているのを一瞬で見抜くが、その後、決意したと分かると「明日は海も静かになるだろう」と、引き受ける。

主人公の心の移り変わりを浮き彫りにする演技で、降旗監督のいうアクセントが表れる。大浦の孫を演じた三浦貴大は「現場に入れば、真摯(しんし)に厳しく自分の役に向かっていく姿に、役者として大切なものを学ばせていただきました」と、共演の印象を語っている。

大滝さんは「役者の芝居っていうのは一番難しいのは普通にやることですね。普通にやるためには、よっぽどぎっしりつまっていないと。だから高倉さんには非常になるほどと思って感動しております」と述べ、共演の高倉を称賛するが、自らも普通に演じつつ、見る者にインパクトを与えてきた。

 それはむろん、この作品に限らない。映画では、市川崑監督の金田一耕助シリーズをはじめ黒沢明、深作欣二、野村芳太郎ら日本を代表する監督の作品に多数出演してきたが、中でも伊丹監督の「お葬式」の伯父役は印象的。飄々(ひょうひょう)としながら癖のある演技で、その後も「タンポポ」(85年)など伊丹作品には欠かせぬ存在となった。

 最近では小林政広監督の「春との旅」(2010年)で仲代達矢と共演。年老いた男(仲代)が孫娘と、面倒を見てくれる所を探す話だが、冷たくあしらう兄の役を好演した。

 「あなたへ」を撮り終えた大滝さんは「今とっても疲れていて、心臓の鼓動がズッズッて突き破るくらい興奮してるものですから、それぐらいの仕事ができることは運がいいといいましょうか」と語っている。

 入院中の大滝さんと手紙をやりとりしてきた高倉は、訃報を知り「最後の仕事の相手を務めさせていただき感謝しております。素晴らしい先輩でした」との談話を出した。

 「あなたへ」では、散骨を終えて港に戻ってきたところで、大浦が「久しぶりにきれいな海ば見た」と、つぶやく場面がある。そのせりふを聞いたとき、高倉は思わず涙がこぼれたと回想している。

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俳優、高倉健さんの話
大滝さんの最後のお仕事の相手を務めさせていただき、感謝しております。今までにご一緒させていただいたいろいろな場面が思い浮かびます。本当に素晴らしい先輩でした。心よりご冥福をお祈り申し上げます

劇団民芸「24時間、芝居人間」

大滝秀治さんが代表の劇団民芸は五日、東京・新宿の紀伊国屋サザンシアターでの終演後に記者会見を行った。会見には、同劇団の樫山文枝、日色ともゑ、中地美佐子、大滝さんの長女の夫で、最後となった昨年の舞台の演出家・山下悟さんが出席、「情熱の炎のような人でした」と、最後まで舞台に立ちたがっていた大滝さんを悼んだ。

家族とともにみとった山下さんは「大きく息を三回くらい吸って、そのまま息を引き取ってしまった。炎がぽわっと消えていくという感じでした。舞台を取ってしまうと抜け殻になってしまうような人。台本を抱えたまま逝っちゃいましたから」と最期の様子を語った。

樫山は「いつも一番早く楽屋に来て、せりふをブツブツ言ってらっしゃった。芝居のことを考えると目がランランと輝いていた」。

父娘を演じることが多かった日色は「『おとっつぁん、そそっかしく逝っちゃったのね』って感じです」と突然の死を悲しんだ。最後の舞台で共演した中地は「二十四時間お芝居のことを考えている方で、私たちにも『寝てる時も考えろ』っておっしゃっていた」と振り返った。山下さんによると、「俳優として痩せた姿を見せたくない」との家族の思いで5日に20人ほどで密葬を済ませた。
 


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by a19750601 | 2012-10-05 22:11 |