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お正月になると

昔はお正月になると、各地から親戚が徳島に戻って来て、私のおばあちゃんが育った明治時代からある瓦屋根の家で、「お餅つき」をしました。湯気の出ているほかほかの餅米を大きな石うすに入れて、はちまきをしめた3人のおじさん達が順番に「一っ、二っ、三っ」と言いながらきねを振り落としていました。リズム良く三人が叩くと、椅子に座った4人目のおじさんが石うすに素手を突っ込み「ほれ!」と言いながら餅米をくるっとまわすのです。これがまた、早い事!「一っ、二っ、三っ、ほれ!」、「一っ、二っ、三っ、ほれ!」、「一っ、二っ、三っ、ほれ!」とおじさん達が汗だくになりながら餅米がお餅に変化していくのを子供達はワクワクしながらすぐ後ろから見ていました。お餅が出来上がると、石うすから取り出されて、うっすらと小麦粉のひいてある大きなタルの中にいれられました。ひいおばあちゃんがお餅を小麦粉にまぶしてから、親戚のおばさん達と共に手のひらにのるくらいの小さなお餅を引きちぎって丸めるのです。そこに私や親戚の子供達が甘えて寄って行くと、ひいおばあちゃんは一口サイズにお餅を丸めてくれて、私達の口の中に入れてくれました。出来上がった大量のお餅は分配されて、私の家ではおばあちゃんが特別な食べ方を教えてくれました。お醤油、黒砂糖、みりん少々と梅干をまぜてトーストする前にお餅に塗り付けるのです。”ぷくーっ”とふくれあがったお餅にのりを巻いて食べると涙が出るほど美味しいのです!!その食感と味は、未だに私の舌にインプリントされています。

時間も時代も流れて、徳島に帰る回数も減れば、帰ってくる親戚の数も減り、その内「お餅つき」もしなくなりました。それでも、私はお正月になると必ずお餅を食べます。アメリカに住んでいた頃も、アジア系のスーパーでお餅を手に入れて、おばあちゃんに教わった方法で食べました。熱々のお餅にかぶりつく瞬間に石うすから上がる餅米の湯気や、おじさん達の「一っ、二っ、三っ、ほれ!」と言うかけ声や、ひいおばあちゃんのしわしわの手を思い出します。食べ物の味だけで過去の光景が鮮明に目に浮かぶって不思議ですね。今年もお餅を頂きながら、いなくなった人達を思い出しました。寂しいと言うより、懐かしい気持ちで。みなさんも、素敵なお正月を大切な人達と過ごせた事を願っています。

by a19750601 | 2006-01-06 16:28